米ファイザーおよび独バイオンテック製ワクチンが初期段階で有望との報道を受けてこの1週間で株価が大きく動きましたね。
日経225、TOPIX、ダウ平均、S&P500などは上昇する一方で、東証マザーズやNASDAQなどハイテクを中心とするグロース株は下落しました。
グロース株→バリュー株へのシフトが起こっているという説が少なからず聞こえるようになり、ここ数年隆盛を誇っていた米国グロース株に対する危機感が囁かれています。
実際、期待通りにワクチンが承認され普及することになれば、航空・観光・製造などしばらく低迷していた業種が復活していくことは予想できますね。
私の投資スタンスは日本株IPO(主に初値狙いだが時々セカンダリーにも参戦)+米国グロース株なので、ポートフォリオの多くを占める米国グロース株の含み益は少なからず目減りしてしまいました。
ではそんな状況を踏まえグロース株への投資を控えてバリュー株にシフトするべきか?というと事はそう単純ではなく。
今後のワクチン如何によってシナリオは大きく変わり、バリュー株が引き続き低迷する可能性も存分に考えられます。
そこで本記事ではあり得るシナリオを複数想定し、展開別に適切な投資方針を検討し、現段階でどうすべきかについて考察したいと思います。
米大統領選や上院選、コロナ患者の増減やロックダウン施行の有無など不確定要素は多数ありますが、直近で一番大きいのはワクチンの動向なので、これについてのシナリオ別に今後の展開を予想しました。
1.ワクチンが承認されるが効果は期待ほどではないケース
個人的にこれが一番ありうるシナリオだと思います。
当初の報道では「ワクチンを接種した90%以上の被験者に予防効果」ということでしたが、あくまで94人のデータでしかなく、本当にそれだけの効果があるかはまだわかりません。
今月下旬以降に追加のデータが出て結果が良ければFDAに承認を申請する見込みですが、当初期待されていた90%という数字は過剰だったというケースですね。
ワクチンが承認されることにより景況感が改善しバリュー株にも光が差し始めますが、実際にコロナ患者が減少しバリュー銘柄の業績が改善するまでは時間がかかると思われます。
このケースでは
バリュー株:業績の改善が決算に反映されるまでは数ヶ月以上かかり、株価の上昇にも時間がかかる
グロース株:相変わらず業績はいいが長期金利の上昇とともにこれまでほど株価の上昇はみられず or 下落基調
長期金利:景況感の改善から徐々に上昇
という展開が考えれます。
2.ワクチンが承認されないケース
2番目に考えられるのがこのケースです。
効果や安全性に疑問が生じ承認されないパターンですね。
この展開も十分あり得ることは念頭に入れるべきと考えています。
この場合は
バリュー株:引き続き低迷
グロース株:再び上昇基調
長期金利:景況感の悪化から再び下落へ
3.ワクチンが期待通りの効果があり承認される
経済に限らず世界のために最も望ましいのがこのケースですね。
私は自身の仕事にも関わるところなのでこの展開を望んでいますが、しかし可能性はそれほど高くないと思います。
現状では
・サンプルが増えても90%の人に予防効果があるのか
・そもそもハイリスク群での予防効果がどの程度なのか
・効果の持続時間はどの程度なのか
といったことが今のところ全く明らかになっておらず、これらを望ましいかたちで満たすワクチンである可能性は低いのでは?と考えています。
とはいえ、ワクチンに期待通りの効果が認められ承認される場合は
バリュー株:強い上昇基調
グロース株:下落基調
長期金利:上昇基調
となりますね。
4.まとめと今後の投資方針
以上をまとめると、ワクチンの展開如何によってバリュー株・グロース株ともに上昇・下落の可能性がどちらもあります。
ということは結局なにも意味がない考察じゃないか、と言われそうですがさにあらず。
一番重要なのはワクチンの動向を注視し、
バリュー株が上がり始めるのを待ってからエントリー
するので十分ではないだろうかということです。
現段階でワクチンがどうなるかわからない以上、今の段階で参入するのは丁半博打に近く、仮にワクチンが承認されるならバリュー株の復権する可能性が高いのでそれを確認してからでも全く遅くないと考えます。
というわけでここ1週間で私がとった戦略は
バリュー株:まだ手を出していない
グロース株:一部利確し現金比率を高めた
その他:今後、財政出動が行われ現金の価値が薄まる可能性は高いので金ETF・金鉱株を追加購入
というものでした。
すなわち現在の投資方針としては現金比率を高め今後の展開に備える、ということに尽きます。
その分、浮いた現金でIPOの当選を狙っているところです。
以上、長くなりましたが参考になれば幸いです。